アカシア便り−65(オフィスDの訪問) 97-11-11

 オフィスDという組織がある。日本航空(JAL)のスチュワーデス出身の松本真理

さんが社長を勤めており、さらに、JALの早期退職者−太田雅晴氏と現職の池田静生

氏、それに、大連三中出身で神戸大学卒の重松昭春氏という教育学者も、取締役として
名を連ねている。さらに、重松さんの中学時代の同期で、遼寧師範大学の教授をしていた
金栄一先生を代表とする大連事務所がある。今年2月に、重松さんから電話をもらって、
初めてその存在を知った。発端は、日本IBMのGS時代の仲間で、今でも付き合いの
ある現役の竹内取締役とGBSの加藤社長が、大連在住の私を紹介したとのことである。

 オフィスDには、JALでスチュワーデスの教育を担当していた人たちがスタッフと

して在籍しており、マナー研修を一般企業にも提供している。日本では、若い人たちの
マナーの問題が問われて久しいが、大企業を中心に社員教育のために、オフィスDの
力を借りてマナー教育をしているところが多く、かって、日本IBMでもこれを利用
していたことがある。

 このような背景のオフィスDの4名の役員の方々が、10月15日から4日間、大連

を訪問した。その直前松本社長からFAXが来たが、その内容は『大連に行くけれど、

日本の進出企業を数社選んで訪問したい。訪問先については牛島さんにおまかせしま

す。』という簡単なものであった。。何名来るのか、目的は何なのか、分からないまま

にオフィスD・大連事務所代表の金先生に電話をして4名来ること、遼寧師範大学を
訪問するという状況を把握した。企業訪問の件はまだ全くの手付かずだということが
分かったので、直ぐ商工クラブを通じて知り合った人たちに電話をしてアポイントを
取った。時間がなかったので、開発区の訪問先については、中日文化交流協会代表の
宋桂華さんに頼んで取り次いでもらうことにした。
宋桂華さんとの付き合いは、日本IBMの囲碁チームが大連に来た時からなので、
3年前からである。何かイベントがあると依頼されたり依頼したりといった仲で、
頼りになる存在である。

 2日間の電話による折衝で、下記のようなアポイントが取れた。

 日本貿易振興協会(JETRO)の大連代表で、日本商工クラブの事務局長でもある

江原規由所長。この人は、私が大連に来て初めて挨拶に行った時からの付き合いなので、

少なくとも、4年間の駐在暦があり、日本進出企業のことに精通しているに違いない。

 次は、森茂大厦(森ビル)の伊藤博行総経理。この人とは、今年6月に大連駐在員を

集めて囲碁同好会をつくった時からの付き合いなので、まだ、数か月であるが、気さく

な気のおけない人柄で人気があり、銀行出身ということもあって、同好会の会計をし

てもらっている。森ビルには、多くの日本進出企業がテナントとして入っているので、

オフィスDの訪問先として適当であろうと判断した。

 三番目は、国際商貿大厦(マイカル)の小森俊典総経理。今年の3月に、私が在籍し

ていたアジア語言学校の学生数不足のため、クラス編成に難渋していた時、従業員の

語学研修の勧誘に行ってからの知り合いである。マイカルは、大連進出が本格的に決ま

り、現在、2店舗が開業している。現在、労働公園の直ぐ目の前に、30数階建ての

ビルを建設中で、来年9月から本格稼働を始めることになっている。

 この外にも、伊藤忠・大連の北野雅教総経理にコンタクトした。この人は、

日本商工クラブ会長なので顔が広いと判断したが、来客予定で会えなかった。さらに、

松下華録の四方祥司総経理。情報誌『大連ウォーカー』を主宰していて、進出企業の

コンサルタントをしている大西正也代表等にも電話をしたが、いずれも、出張や来客

予定でアポイントが取れなかった。

 開発区の方は、まず、日本商工クラブの副会長で、神奈川県経済貿易事務所の関根

正明所長。

 次は、7千人の従業員を抱え、今年、開業10周年を迎える進出企業中、最大規模を

誇るマブチモーターの西村祥二総経理。

 三番目は、中日合作の工業団地開発管理公司の酒井満総経理。この人は、南関嶺の

管理幹部学院の時、団地内企業の中国人雇用者・日本語研修のカリキュラムを一緒に
作った仲なので、今でも、ざっくばらんにつきあえる。

 この外に、もし、時間が余ったら訪問しようと思っていたバックアップのフレッシュ

食品がある。ここの事務長をしている山岡真由美さんは、この7月まで、大連外国語学

院で中国語を学びながら、アジア語言学校で日本語教師をしてもらっていた仲である。

趣旨を話したら、快くOKをしてくれた。

 わずか2日間で、これだけのアポイントを取るのは、専任でそれだけをやっている

ならともかく、会社に勤めながら、休憩時間をもっぱら使ってやったので、それは

並大抵のことではなかった。家に帰ってからも、アポを取るために、責任者の自宅に
電話をかけたりして折衝を続けた。

 私の今の会社での勤務体制は、週休3日なので、その1日をオフィスDのために空け、

アポを取ったすべての企業訪問につき合うことにした。

 私のほかに、大連事務所代表の金先生と、于水さんという弁護士。この人は、大連で

も有名な書画家である于涛氏の息子で、遼寧師範大学を卒業してから大阪市立大学の大

学院で学び、法学博士の称号を取って、今年4月に大連に戻り、弁護士を開業している。

 16日は、8:30にホリデイインのロビーに7名が集合して企業訪問が始まった。

 JETROの江原代表の話は、さすがに幅広く、東北3省の動向から中国の人たちと

の付き合い方まで、参考になる意見を多く聞くことができた。中でも、中国人雇用者の
定着率の問題では、個人主義的な傾向が強いので、むしろ、日本型より欧米型に近い

取扱いが必要であることが強調された。

 森ビルの伊藤総経理は、従業員のマナー研修の必要性を説き、もし、研修会を開く

なら協力してもらえる、というところまで話を進めることができた。

 マイカルの小森総経理は、雑談形式で、むしろ、于水さんのような優秀な弁護士と

知り合いになったのが嬉しいといった感じであった。マナー研修については、会社独自

で、本社の人事部から人を派遣してやってもらっているということである。

 開発区の訪問は、全部、宋桂華さんが付き添ってくれた。結局、バックアップとして

セットしたフレッシュ食品へも訪問がかない、有益な訪問ができたと思う。マブチモー

ターは、あいにく、西村総経理が不在で、中野経理が応接してくれた。